THE WILLARD

ちょっと前に、オークションで落札。



うむ。
異色作だと思う(笑)。
インディーズ時代の音源とも、東芝時代のアルバムとも違うし、コロムビアのこのアルバム以降の作品とも違うし、もちろん『MY SWEET JOURNEY』とも全然似てない。なんか、このアルバムだけすごーく、バンドの文脈から外れてるような気がする。
レコード会社や、事務所関係のごたごたもとりあえず収まって、心機一転の意味を込めて、バンド名をそのままアルバムタイトルにしたと聞きましたが、そのわりにはどのアルバムよりも、〝らしくない〟っちゃあらしくない。うん、まあとりあえず、オークションで比較的出品が多い理由はなんとなくわかった(失笑)。



天使だのアクマだの吸血鬼だのハロウィンだの墓場だの霊柩車だの、ゴシック&ホラー的キーワードがてんこもり。
ティム・バートンっぽい世界というか、『アダムス・ファミリー』というか、それこそ『ドボチョン一家』とか、ああいうちょっと戯画化された〝ホラー〟をやりたかったのかな。そういうのが、この当時のJUN先生的にブームだったのでしょうか。(ブックレットのライヴ写真とか、まさにそんな感じ)
ぶっちゃけあんまり大きい声ではいえませんが、ヴィジュアル系くさいです(小声)。あの界隈によくありがちな、書き割りじみた感じが、プンプンとにおってくる。私は、そのV系特有の書き割りっぽさをむしろけっこう愛好している人間なので、それはそれで楽しめましたが。まあ何事も過ぎたるは及ばざるがごとしであります。



鍵盤やホーンはほとんど使わないで、バンドの4人で出せる音だけをガツンと直球で放り込んでいる。かなりゴリゴリでやかましい。東芝時代の、きちんと整理された華やかな曲と比べると、ずいぶん荒々しく剥き身のままという印象ですが、これはこれで嫌いではないですよ。普段はお米に味噌汁に焼魚でも、たまにはジャンクフードも食べたくなる、みたいな感じといいますか(笑)。
〝ALICE IN BORDERLAND〟とか〝IMITATION SAYS〟とか好き。〝CHINESE TRICK〟もいい。〝HIS SONG(JOLLY ROGER Ⅱ)〟は、曲だけ好き(笑)(詞はイマイチ)。〝ANGEL TRIP〜〟は、ベスト盤収録のリミックスVer.のがいい。しょっぱなのカウントで吹きましたよ(失笑)。で、ラストの〝OCT.31,1989〟は非常にパンクでかっこいいね。いわくある曲らしいから、ライヴとかではもうやらんでしょうが。



にしても、ブックレットの穴井さんは、なかなか強烈な存在感です。ええ、いろんな意味で。