Reptile House

おお、これはかなり好き。〝Ain't Rolling Stone〟でシビれまくりですよ! かっこいい!
暗黒グラムというか、マーク・ボランmeetsホーンテッドマンションinトランシルヴァニアン公国というか(笑)、WILLARDのゴシック&ホラーな要素をじっくりコトコト煮詰めて、グラマラスとデカダンスを上からぶっかけたような。前作の『THE WILLARD』と、方向性はたぶんそんなに変わらないんだけど、方法論がぐっと洗練された。黒のシルクサテンとなめらかなビロードがよく似合う、陰鬱なんだけど華やかでもあり、いかがわしくもあり。
確か、それこそマーク・ボランとかジム・モリソンとか、何でか山口二矢とか、他にもいたはずだが忘れた、とにかく彼らにとってのTricksterが、〝Reptile House〟というクラブに一堂に会してセッションを繰り広げる、とかいうコンセプト。いいねえその、〝コンセプト〟という名の大風呂敷! リアル悪魔城の晩餐みたいな、裏ジャケ&ブックレットの写真も素敵!
バンドブーム真っ只中の91年にこの音か。んでこのヴィジュアルか。あはは、そら売れん!



まともなラヴソングがほっとんどないWILLARDにしては、珍しくストレートなLOVEモノが何曲か。〝Transylvanian Rose〟(名曲!)〝Tender rain Kept A Fallin'〟(このタイトル、〝Train Kept A Rollin'〟のもじりですね)、〝Dear Jane〟もそうかな? 〝じゃこうの香りの中 お前はバラの花さ〟だの嵐が丘で君に会いたい〟だの、脳ミソ煮えてる気障ったらしいワードがドカドカ登場するのですが、不思議とこれが良いのです。乙女のハートわしづかみ。JUN先生の声も、いやに艶っぽくてドキドキだ。アコギとピアノが印象的な〝Tender rain〜〟、泣けた。なんて優しい曲なんだ。染みるよ。
この人たちにはめずらしく、3人で楽器持ってせーので鳴らしました、みたいなラフな感じが新鮮(実際は、やっぱりかなり作りこんでると思うんだけど)。全編、ピアノ大活躍。ブギっぽいのからバラードまで、大変いいアクセントになってる。で、JUN先生もギター弾きまくり。SHIN氏のような、精密さとか繊細さはないけど、たっぷり墨をつけて太い筆で一気に書いた字のような骨太な音鳴らしてて、アルバムのトーンには合ってるかな、と。
JUN先生のギターは好きなんです。音色が、理屈ぬきに自分の感覚にしっくりくる。



あえて言うなら、いわゆるキラー・チューンっていうのかな、これぞというようなつかみ一発OKの曲がないのと、全体的に曲調が似通っているので、通して聴くと単調かも。メリハリがない。あと、録音があんまり。なんでこんな音にしちゃってるんだろう。圧力とか立体感がなくって、のっぺりしてる。音に芯がない。コロムビアさんが一念発起して、万が一(笑)再発されるようなことがあれば、これはリマスタリングしなおして欲しいなあ。



あ、オフィTOP更新されてる! ハロウィン仕様だ! かわいい!
(で、渋谷と大阪の写真はまだですかー)