VA/酔いどれ詩人になるまえに

9mmくんたちにアタマ吹っ飛ばされつつ、あいまにちょこちょこと聴いてる音源。


酔いどれ詩人になるまえに

酔いどれ詩人になるまえに


お目当ては銀行強盗さん。でも、他の曲もすごくよかった。
とにかく濃いんだ、どれもこれも。言葉が濃い。音に込められた情念が濃い。でも、その“濃さ”に対して、正座して背筋伸ばして耳そばだてて向き合うことを、強いる空気は全然ない。もちろんそうやって聴いてもいいし、夜中にぼんやりと右から左に聴き流しても、たぶん全然OK。お酒呑んで酔っ払って、夢うつつの境界がごっちゃになって、記憶がぶつっととびかける寸前に、するっと耳に入り込んでくる音がこのCD、というのはなかなかに素敵だと思う。
イースタン吉野さんの宅録曲:1と、HEAT WAVE山口さんの:2が、鳥肌立つほどよかった。ミチロウさん弾き語りの:3も最高。あとフラカンがよかった。あんまりよく知らなかったんだけど、他の曲も聴いてみたくなったな。キュウちゃんオススメだしな。あと、MIMITTOという人たちの:6もよかった。全然知らない人たちだけど。


にしても、私は本当に銀行強盗さんの曲好きなのだなあ(笑)。タイトルだけで、勝手にのほほんとしたメロウなルル系の曲を想像してたら、いきなりあのぶっ壊れたやさぐれギターにブルース・ハープだもん。かあっこいいいい。この曲のチバの声が好き。がなってなくって、無理なく声を出してる感。
前にも書いたんだけど、銀行強盗はチバにとってのネタ帳みたいなもんだと思う。いや、チバだけじゃなくって、イマイさんにとっても。たとえば電車に乗ってて、ふっと神が降りてきたかのようにアタマの中に一から百まで文章があふれ出てきて、あわてて紙とペン取り出して書きなぐる、みたいなことは、ちょっとまとまった文章書いてる人ならたぶんみんな経験あると思うんですが、そのいちばん最初の、チラシの裏への殴り書き、みたいなものがこのユニットなのではないかしら。字もきったないし、文脈つながってなくって支離滅裂だったりもするんだけど、1番飾りのない、剥き出しの言葉が並んでる状態。そういう生々しい、生まれたての言葉と音がごろんと転がってるのを、ぼんやりと眺めるのもこれまたおつなものです。チバのことだから、これから先もたぶんバンドとっかえひっかえしつつ(苦笑)ふらふらしてくんじゃないのかなと私は予想してるのですが、このユニットだけはライフワークのように、メインの活動のあいまあいまに続けていくんじゃないのかと思ってます。ああ、ライヴ見てみたいなあ。どうにかして地方で見れるすべはないのかしらん。