dipの音源を(中略)覚え書いていくシリーズ@その7

そんなこんなで明日からしばらく留守にしますがその前に書き逃げ。


underwater

underwater


鬼火捕獲より数日後、うっかり(うっかりなのか)某店のアウトレットセールで遭遇。『9souls』のサントラも仲良く並んでワゴンに鎮座ましましていたのだが、財政事情がけっこうのっぴきならない事態に陥っていた時だったので(失笑)、一応オリジナルアルバムを優先して、こちらのみサルベージ。


…はっイカ寝落ちしていた。
冒頭の“9souls”は、いつ聴いても体中の穴という穴から血が噴き出す勢いでテンション&血圧がだだ上がりになるのですが、アルバム全体のトーンとしては、なんというか、こう…暗い。ほの暗い水の底へとひたすら沈殿していく感じ。アルバムタイトルとジャケットがまんましめす通り、まんま過ぎてもう少し捻れやとツッコミいれそうになるくらい(笑)。冷たく静かな、海の底のイメージ。水の流れすら及ばない、ただそこに溜まるだけの水にひたされて、少しずつ体が腐食し、分解されて、そのまま海水に溶けていくような錯覚に襲われる。12分強もの長尺インスト“baselines”〜これまた9分の大作“underwater”にかけての流れは、狂気すら感じさせる絶対零度の孤独と静寂の世界…なんつったらかっこいいんだけど、あれですよ、要は「寝るなあああ! 眠ったら死んでしまうぞおおぉぉ!!」(ガクガクガクガク←胸ぐらつかんで揺さぶっている)。続く“nowhere to go”の、空を切り裂くイントロのギターリフで、ほうほうのていで現世に戻ってこれたかと思いきや、「行くところなんか何処にも無いじゃないか」うわあ出口無えええ。最終曲の“at there i will cry”にいたっては、いくら英詞とはいえ、“つかれた”の連呼で始まり「この不毛な繰り返しを続けられない」「逃げ出したい そして血の流れるのを感じたい」…なんか、歌詞の雰囲気ずいぶん変わってますよねこれ以前のアルバムと。綱渡りのような“君と僕”の姿はもはやここにはなく、かといって非常にシニカルかつ抽象的な、どうとでもとれるような意味合いの『funmachine』あたりの詞とも少し違う(そういう詞もある)。内へ内へと向かっていく、“僕”はいるけど“君”のいない、徹底的な個の世界。という感じを受けるのですけど。
そんな風だから、まあお世辞にもとっつきやすい、ポップなアルバムとはいえないのですが、それでも1度ツボにカチンとはまると、ずぶずぶとのめりこんでいける独特の魅力を持つアルバムだと思います。ちらほらとネット上での感想を掘ってみると、1番苦手という人もいれば1番好きという人もいる。両極端。個人的には、こういうのもありかなあ、と。元々好きだったり、自分の中に持っている世界ではないんだけれど、興味深く近づいてって、外側からしげしげと眺めている感じというか(笑)。あと、この時期のサウンドって、これ以前と比べると*1あまりギターが突出して聴こえてこない気がするんですけどどうなのかな。まずギターありき、ではなくもっとこう、グルーヴ主体というか。一定のリズムで直線を描くドラムにうねうねと絡みつくベース、そこから生まれたグルーヴの波に、ギターがもぐりこんだり浮かび上がったり乗っかったり、という印象。そこらへんが、アタマの悪い言い方で申し訳ないのですが、非常にあのー、洋楽みてーだなー、と(笑)。


このアルバム唯一の日本語詞。うん、まあ、PV作るならこの曲しかなかったよな(笑)。かっこいい映像です。

*1:あくまで以前と比較して、ですが