極私的懐かしのアルバム探訪

市川本読んでると、どうも10代〜22、3のころの、青かったりイタタだったり微妙に暗黒だったり、なせいしゅんじだい(笑)がフラッシュバックしてきて困るな(失笑)。


天使と小悪魔

天使と小悪魔

私が初めて触れた、所謂「ヒットチャート以外の洋楽」がこのアルバム。高校1年の終わりか、2年になったばかりのころだったかなあ。もちろんそれ以前にも、親の持ってたビートルズの編集盤みたいなカセットとか、あと小学校のころとかにマドンナやシンディ・ローパーとか、カルチャー・クラブとかバナナラマとか、そういう街でなんとなく流れている英語のうた*1、なんかで“洋楽”に対する免疫がまったくなかったわけではなかったのだが、そうじゃないところで、自分の意思でもって聴いてみようと思った、“外タレ”ではなく“洋楽のアーティスト”が、どういうわけだかケイト・ブッシュだったのだ。
や、どういうわけだかもクソもないよ(笑)、その当時のFool's Mateのインタビューで、YOSHIKIさんが「最近ケイト・ブッシュが好きで云々」みたいなこと言ってたからだよ! そんだけの理由だよ!(笑)「ヨッちゃんがそんなに好きなら私も聴かなきゃ!」なんつーだけの話なんだから、可愛いもんじゃないか10代のワタシ! で、いそいそと近所のレンタルCD屋に行って、ここが今思えば坪数のわりには品揃えがけっこうよい店だったのですが、そこで借りてきたんですよこのアルバムを。ベスト盤とどっちにしようか迷ったのだが*2、そのインタビューの中でYOSHIKIさんがすごくいいと褒めていた“Kick Inside”という曲はベスト盤には入ってなかったから、結局こっちを借りたわけですよ。よく覚えてんなーワタシ。
で、聴いてみてガッカリするんだけどね(苦笑)、よくわからなくって。その当時の私の聴いたことのある、ポップスつーかロックっつーか、なフォーマットにまるで収まらない、不思議な音楽だったので。というか、もっと普通に激しいロックっぽい音楽を想像してたら、いざ聴こえてきたのはピアノの弾き語りみたいな曲に超音波なロリータヴォイスですものそりゃあびっくりする。でも、ヨッちゃんがいいって言ってるんだからこれはいいんだ、となんとか自分に言い聞かせながら、わからないなりにちょっとでも理解しようと一生けんめい聴いたなあ。カセットにダビングして、何度も何度も。



Kate Bush/Wuthering Height


いまや日本では、「恋のから騒ぎ」の曲、のみとして(笑)有名になっちゃったけどね、この曲。
ちなみにケイト・ブッシュといえば、その2〜3年後に当時の黒服少女たちの必須アイテムとして、局地的にその名を轟かせることになるわけですが、なぜかというとインディーズ時代のLUNA SEAがライヴのSEとして彼女の曲をよく使用していたから(笑)。この曲とか。



. Kate Bush /Babooshka


そういえば、ブラーがあれは2nd出した後の来日公演かな? 渋谷のON AIR*3でやったライヴ観に行ったら、終演後のBGMで“Babooshka”流してて嬉しくなった覚えがあるなあ(本当につまらんことをよく覚えている私の脳味噌)。
まあ、そうやってわからないなりに頑張って聴いた甲斐あってか、その後借りたベスト盤に収録されていた“Sat In Your Lap”にアタマ殴られたみたいな衝撃を受けて、ケイト・ブッシュにドンばまりする破目になったのですが(笑)。一時期はアルバム全部持ってましたわ。『Dreaming』はほんとによく聴いた。



Kate Bush/Sat in Your Lap


ドリーミング(紙ジャケット仕様)

ドリーミング(紙ジャケット仕様)


最大で72トラック使用というキ○ガイじみたアルバムで、今聴くとちょっとやりすぎてダサく聴こえる面もないではないのですが、その異様な迫力とか鬼気迫る緊張感はビシビシ伝わってくる。基本的にこの人の音楽は箱庭的少女趣味の域を脱してはいないと思うんですが、何事も極北まで突き詰めればそこには狂気が漂う、と。そういうアルバムです。
あと、この人っていそうで意外といない、「イギリス的な、あまりにもイギリス的な」ミュージシャンだなあと思う。アーサー王伝説とか、指輪物語とか、そういうイギリス産の幻想文学の世界観が、骨の髄までしみこんでるっていうか血液のかわりにファンタジーが体の中を流れているというか。初期のアルバムには、そういうおどろおどろした不気味な美しさが、とりたてて意識しなくても自然に出てきている。まあ最近は、さすがにお年を召したせいか、ずいぶん毒気の抜けたさらっとした音楽になってきたと思うけど。


Aerial

Aerial

現時点の最新CD。ちなみにこれは、12年ぶりのアルバムでした(笑)。

*1:その流れで、初めて自分で買ったレコード…は自分のアナログプレーヤー持ってなかったのでカセットテープ、はバングルスの『シルヴァー・スクリーンの妖精』だったりする

*2:バイト禁止の高校生だったので、1枚300円程度のレンタル料といえどもけっこう死活問題だった

*3:O-EAST。まだEASTとWESTが分かれる前だった