thee michelle gun elephant/TMGE 106

よほど私は、お化粧して黒い服を着て、天使がどーした悪魔がこーした闇がうんたらとかいう歌を歌ってる人たちにしか興味がないと周りには思われているらしく、ミッシェル・ガン・エレファントが好きだと言うと、たいていの人が驚愕するのである。失敬だな、君ら。
2ndで好きになって、『ギヤ・ブルーズ』のころが好きの絶頂で、『カサノバ スネイク』でちょっと離れて、でもラストシングルの『エレクトリック・サーカス』は買った。ライヴも何回か行った。その時買ったTシャツは、いまだに普段着に着ている。そんな感じです。



私の中で、ミッシェルさんは〝ヴィジュアル系〟なんである。
あー、待て待てそこ、石を投げるな。つまりだ、Tシャツポロシャツジーンズなんつー普段着まんまで、ステージに上がることを潔しとしない人たち。ライヴ、ひいては〝世間〟に挑むにあたっての、〝戦闘服〟を持っている人たち。それが、私にとってのヴィジュアル系、なのだ。
人によってその〝戦闘服〟は、メイクだったり、黒い服だったり、ダイエースプレーでガチガチに固めた天までそびえる赤い髪、だったりするわけで、でミッシェルさんたちは4人全員ビシッとそろえた、細身のモッズスーツだった。ステージの上の俺たちは、ステージの下にいるおまえらとは違うんだよ、というメッセージを強烈に発している、そういう〝ロックバンド〟。
ある時見たライヴビデオ、スペシャだったかWOWOWだったかで放映していた、あれはフジロックの映像かなあ。いまいち記憶があいまいなのだが、でもこれだけは覚えてる。白いシャツが、肌にベッタリ張り付くほどに汗だくになりながらも、チバは、ライヴ本編が終わるまで、頑なにネクタイをゆるめようとはしなかった。アベやウエノはさっさとネクタイ外して、キュウちゃんにいたってはとっくに上半身裸で(笑)ドラムぶっ叩いていたけれども、チバだけは最後まで、黒の細身のネクタイをクビにぶら下げたまんまで、ギターかき鳴らしてがなってた。
そういう美意識が、たまらなく好きだった。まったくもって、痺れるくらいにカッコよかった。




チバの書く詞は、あまりに抽象的すぎて、何が言いたいんだかよくわからんと言われることもあるみたいだけど、確かに文節を抜き出してみたらそれ自体にあまり意味はないかもしれない。
だけど、チバの抱えている焦燥感だの憂鬱だの、やけっぱちな暴力衝動だの、そういったものだけは、言葉そのものの持つ意味を超えたところで、ダイレクトにビシバシ伝わってくる。皮膚感覚に訴えてくるというか。
だからこそ、ミッシェルはあれだけ支持を得られたんだろうし、そうやって何か伝わるものがあるってことは、それは〝正しい〟ものなんだと思う。もちろん、あのとんでもなくソリッド、刃物のようだったりゴツゴツした岩のようだったりする音の力もあってのことなんだけど。



TMGE 106

TMGE 106

このアルバムの曲は全部好き。ホントにもう、何から何まで好き。〝CISCO〟が入ってりゃ完璧だった(笑)。
空中分解寸前で、お構いナシに坂道転げ落ちる勢いで突っ走ってく〝VIBE ON!〟、最高。





カサノバ スネイク』でちょっと気持ちが離れてしまったのは、単にそのころの私が、リーゼントに革ジャンのバイカー仕様のヴィジュアルと音楽が、好みでなかったというだけで、某バンド(笑)のおかげでそういうのも割と平気になった今なら、たぶん普通に聴けると思う。
というわけで、今度今さらながらに、『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』を聴いてみるつもりです。