ヤマジカズヒデ/ソロ BOX SET 3枚組

ヤマジカズヒデ ソロ BOX SET 3枚組

ヤマジカズヒデ ソロ BOX SET 3枚組


先週お引取りしてきてから、毎日聴いてます。
BOXの装丁が素敵。表に若かりしヤマジさんの写真、裏にご本人直筆(これがもう誰にも真似のできない独特の筆跡で非常に目にこころよい。字だけでアート)の、各アルバムの曲目。思わず部屋に飾りたくなる。ていうか飾った(笑)。ブックレットが超充実。小野島大氏のライナー+小野島氏のインタビュー形式による、ヤマジさんの各アルバム&全楽曲解説で読み応え抜群。読んでて思ったのですが、「この曲は○○みたいな感じでうんぬん」「○○風にやりたくてかんぬん」という発言が、やたらと多いのね(笑)。dipも含めてカヴァーもよくやってらっしゃるようだし、基本的にはこの人ごくごく普通の、“音楽好きの青年”なんだろうなあ、と。『迸る表現衝動をギターに叩きつけ〜』とかいうような大仰な感じでは、ぜんぜんなく(笑)。なのに、出てくるものはといえばこれがちっとも“普通”ではない。ぐにゃりとやわらかくねじれていて、いびつではあるんだけど何故だかそれが自然というか、当たり前にさりげなくそこにあるもの、みたいな。
こういう人を、本当の意味での天才肌っていうんだろうなあ。語り口も、おっとりとマイペースな印象。それでいて、自分を突き放して遠くから眺めてるような第3者的な視点もある。インタビュー読んでて、大変興味深かったです。



解説読みながらじっくり聴き込んでもいいし、ぼーっとタバコ吸いながら流し聴きしてもいいし、あと休日のだらけた午前中に二度寝しながら聴いてもいいな。案外時を選ばず聴ける内容。ただ、誰かと聴くんじゃなくって、あくまでもひとりで。今のところ、『CRAWL』が1番聴いてるアルバムかな。ヤマジさんもインタビューの中で言ってたけど、アルバムとしてわりとキチンと作られてるのはこれかなあ、と。“音楽”としてのフィルターがちゃんとかかってる分、いい意味で気楽にBGMにできる。最近気づけば、“water color”のメロディを口ずさんでいたりして(笑)。すごいいいメロディだ。
もうずいぶん前、ミッシェル時代のことなんですけど、チバさんが、あれはどこで紹介してたんだったかなあ。シド・バレットの『The Madcap Laughs』について、「やさしく頭撫でてもらってる感じ、いいこいいこしてもらってるみたいな」なんて評してたんですが、この3枚も、まさしくそんな感じ。特に最初の2枚。とりとめもなく少しずつすこーしずつ沈んでいくような感覚が、なんとも言いようがなく優しくて心地よい。ものすごく安らげるし、ほっとするのですね。何ででしょうねえ。間違っても明るくもポップでもないんですけどねえ(笑)。仕事から帰って、ごはんを食べて、自分の部屋に戻って一息ついて、それからコーヒーか紅茶を飲みながら、『SUNDAY PAFFCE』か『CRAWL』のどちらかを聴くひとときというのが、ここ最近の私の、最高に幸せな瞬間だったりします。ああ、なんというささやかな至福。ていうかちょっとヤバくないかそれ(失笑)、疲れてんのか私?