FUNNY FEARS

コロムビア時代のネ申アルバム。



THE WILLARD』のカートゥーン風ゴシック&ホラー+『Reptile House』の暗黒グラマラス&デカダンスから、カートゥーンとグラマラスを抜いてもう少しストイックな方向に振り、さらにヘルズ・エンジェルス風味の、アウトローな俺様バイク乗りワールドを加味。中ジャケットに、初めて(?)ハーレーがどどんと登場。穴井さんはもちろんのこと、KYOYA氏まで見事な口ひげたくわえててひっくり返りそうになりましたが、でもJUN先生はシルクハットにブラウスに白塗りメイク(笑)。いくらバイカー仕様でも、絶対に革ジャン・タンクトップ方向に行かないあたりが、結局何をやっても四半世紀変わらずWILLARDはWILLARD、たる所以かと思われます。
バイクを媒介としたロード・ムービー仕立てといえばそうなんですが、MSJの、カラっと明るくナチュラルな感じに比べて、もっとハッタリがきいてるというか、こけおどし感満載というか(笑)、作り物めいている。何となくまだバイクがコスプレくさくって、むしろそれを逆手にとって、ウエスタンやら『アンタッチャブル』やらヘルズ・エンジェルスやらがごった煮になった、無国籍ワールドを演じている感じ。




『Reptile〜』の、湿り気のあるグラム調より一転、タイトな8ビートの曲調を軸に展開される、大陸風味な乾いたハードロック。ブルースっぽかったりウエスタンだったり、な隠し味はあれど、全体的にタテの線がピッとそろった、締まった音作り。いかにも〝ガチッとやるのが大好き〟な、JUN先生らしく、泥臭い感じは全然なくってたいそうスタイリッシュ。で、とてもわかりやすい。パッと聴いて耳に残るリフやメロディ(フックがきいてるっていうのかな)が、コンパクトにぎゅっと詰まっている。バンド少年たちが思わずコピーしたくなるような曲、といいますか。
〝HORROR TRAIN〟〜〝SNOWY WHITE〟(これは詞もとってもクールで、大好き)ときて〝PAIN STREET〟につながる、アタマ3曲の疾走感は最高。特に〝PAIN STREET〟、この曲のためだけにこのアルバムは手に入れてもいいとすら思うくらいだ。クールなビート感とキャッチーなメロディの中に、叙事詩のようにドラマティックな世界が閉じ込められている。初めて聴いた時には鳥肌立った。
サイケデリックな〝DAVID JAMES〟も素敵(ちょっと後期のエコバニっぽいと思った、クリーンなギターとピアノの絡みが)。〝GUN SLINGER〟の、思わず白のパナマ帽を宙に投げたくなるような(笑)エセジュリー風味もかっこいい。
バンドの歴史的に見ると、1番音がやかましかったのはこの頃なのかな。音数や音色が多くてやかましく聴こえるんじゃなくって、単純に、音がデカい。音圧高め。かっこいいかっこいい。
穴井&KYOYAのリズム隊、ドンスコいってて最高だ。〝HORROR TRAIN〟のリズムとか、ほんとに地響きのようだもの。



FUNNY FEARS

FUNNY FEARS



ちなみにこのアルバム、本当に偶然に、近所の中古CD屋で発見しました。
まさかあるとは思ってなかったから、見つけたときには冗談ぬきで手が震えたよ。4月の頭だったかなあ。