てるる…/車輪

まあ前々から、このインパクトありありのバンド名につられて興味はあったのですが、そしたら去年の音楽と人10月号で、ハルキときたら「彼は僕にとって特別だから」なんつー恐ろしいセリフを吐きやがってしまったわけで、ハルキにそこまでいわせる渡辺豪とやら、おまえ何モンだそこへなおれ、と。そりゃあ気になりますがな。で、新譜がタワレコで試聴できたので、ほほうこれはいい機会ではないかどれどれ聴かせていただこうじゃないの、と鼻息も荒くヘッドホンを耳にあててみる昼下がり。ていうか、いいのかしら興味もったのがそんな理由で。



……すみません、たいそうよろしゅうございました…(撃沈)



普段、そんなに試聴機の前で長居をするということはないのです、だいたいイントロ聴いて声たしかめて、ピピッときたらそのまま何曲か飛ばし飛ばし聴いて、その時点で気に入れば即購入。というのがたいていの試聴→購入にいたる私の場合プロセスというほどでもないプロセスなのですが、今回は珍しく、ほんっとーにめずらしく1曲目の〝車輪〟という曲、息詰めて最後まで試聴機で聴ききってしまい、あげくにリピートまでしてしまいました。なんなんだろう、途中で停止ボタンを押すタイミングをつかみそこねたというか(笑)。第一の理由はまず声です、間違いなく。この声は耳に残る。いわゆる〝いい声〟かと問われるとちょっとアクが強い、相当好き嫌い分かれるんじゃないかと思う。なんて言ったらいいんだろう、ハスキー…ちょっと違う気もするな…発声にかなり特徴ある…ううん、説明しがたいな。で、諸手を挙げて好きかと問われると、そうでもない(笑)。でもこの声はもう2度と忘れないだろう。テレビで、ラジオで、街中で、たとえまったく聴いたことのない曲であろうとあの声が流れてきたら、あ、てるる…だ、とすぐにわかると思う。これはひょっとしなくても凄いことではないでしょうか。声って、持って生まれた天性のものだから後天的な努力だのなんだのでそんなに簡単に変えられるもんじゃない、せいぜい訓練で声量上げたり音域広げたりができる程度で、声の質っていうのはけっこうどうにもならない部分で。だから、好きだろうが嫌いだろうが、とにかく1度聴いたら忘れられない〝声〟を持ってるってのは、ものすごく大きな武器じゃなかろうか。ああ、そういやその昔、チバの声初めて聴いた時にもそう思ったもんだ(笑)、チバの声もかなり特徴あるもんな。



そんなわけで、結局買ってきて家でゆっくり聴いてるわけです。いや、いいなこれ。6曲一気に聴いてしまってずっとリピート(笑)。音がうねってんなあ。気持ちいい鳴らし方。
少年から青年になりかけの年ごろの、頭よくて感性も鋭い男の子ならではの、潔癖だったり繊細だったり希望と絶望のあいだでふらふらしてるような感じだったり、というのがちゃんと音に出てる。純粋に音楽的には、まだぜんぜん引き出し少ないけど、でもちゃんと、彼らにしか鳴らせない音というのを鳴らしてるんだなあというのは伝わってくるです。なんか、おなかのあたりがぐつぐつと煮えたぎってくるような感覚が聴いてる間中ずっとする。あと、妙な言い方ですがとても東久留米の空気を感じます(笑)、西武線沿線の、東京03区域じゃない土地の空気。東京なんだけど、のどかで、まだ畑とかもあって空がすこし高くて土のにおいもする東京。と、通算で8年くらい西武線沿線の練馬区在住だった私がつぶやいてみる(笑)。
そうか、このバンドでベース弾いてたのかハルキは。どんな感じだったんだろうな、想像つくようなつかないような。
2月に福岡でもライヴあるようなので、都合がつけばちょっと行ってみようかな。



車輪

車輪